彼らの話を聞いているととても信じられないことが多く出てきて、佳奈は口を引き結んだ。


世の中には理不尽なことが数多くあることはわかっている。


けれど、彼らの周りだけに集まり過ぎているような気がするのだ。


「俺たちはこの街の人間が大嫌いだ」


最後に一生は吐き捨てるように言って終わらせた。


けれど一生も亮一の智子も佳奈たちに話せなかったことがある。


自分たちが人殺しと呼ばれたり、あの家の子供だと指を刺されていることだ。


それを言えば自分たちの絆はこわれてしまう。


だから、言えない。


「だから首を探さないのか」


明宏が怒りを込めて尋ねる。


声は低く、目元はつり上がっている。


「そうだよ。こんな街地蔵たちに壊滅させてやったらいいんだ」


智子が大きな声で笑って答える。


もしも自分が智子と同じ立場だったらどうだろう?