季節外れのエチュードを




学校に着いたときには、6限目が終わってからもう20分もたっていた。


運動場にはランニングをしている人がいて、廊下を歩いていれば楽器の音や人の声が聞こえる。


私も頑張らないと。


今日の美術部の活動も個人製作かな?

川島先輩たちは遊びに来てくれてるかな?


部室に近づくほど期待に胸を膨らませていく。


うん、大丈夫。

家にひとりでいるよりも、部員のみんなと話した方が心はきっと楽になるはずだから。


そんなことを考えているとあっという間に部室に着いてしまった。


教室の中からみんなの楽しそうな声が聞こえる。

よし、と意気込んで、すーはーと小さく深呼吸していると、ドアのガラス部分から大きなキャンバスに絵を描いている松浦くんの横顔が見えた。


その表情を見て思わずドキッとする。

だって、今までに見たことないくらい真剣な顔をしていたから。


松浦君は絵を描いているとき、いつだって本気だ。


だけどなんだろう。

今の松浦くんはそういうのとは熱量が違って、無意識に惹かれてしまうくらい綺麗だった。


いったいどんな絵を描いてるんだろう……

自分の興味に惹かれるまま部室のドアを開けた。