季節外れのエチュードを

「じゃーね先輩、バイバーイ」

「おー、気を付けて帰れよ」



日が落ちてきて、どんどん人が減っていく。

私も帰ろうかと思ったけど、母にはまだ会いたくない気分で椅子から立ち上がることはしなかった。


そうやって意地を張っていたらいつの間にか先輩たちも帰り、あの日のように松浦くんとふたりきりになった。


前のときみたいに気まずいなんて思わない。

お互いに気を遣いすぎないこの空間は、息がしやすくてリラックスできた。



「ねえ、松浦くん」

「……なに」

「私の絵、どう思う?」



なんてことない風に聞きたかったのに、声が少し震えてしまった。


松浦くんが気づいたかはわからないけど、言い直すのも言い訳するのも変な気がして押し黙る。


すると長い沈黙が流れた。

いつもだったら「自分で考えたら」とか「今忙しい」とか言ってくるのに。


もしかして無視?

まあ全然いいんですけど。

松浦くんの塩対応はもうとっくの前に慣れたし。