絵を描いている間、頭の中を占めているのはキラキラしたものだった。


中心にあるのは松浦くんの絵で、その周りに恵ちゃんの楽しそうに絵を描く姿や、部長から褒めてもらった言葉、大好きな海の景色がある。


だから絵を描くことが楽しくて、夢中で手を動かしているといつだって時間は一瞬で過ぎる。


今まではずっとそうだった。



「……ちゃん、美波ちゃん!大丈夫?」



名前を呼ばれていることに気づいてはっとする。
顔を上げると恵ちゃんが心配そうな顔で私を見ていた。



「あ、ごめんねぼーっとしてた。全然大丈夫だよ、ありがとう」


「美波ちゃん……」



恵ちゃんはまだ何か言いたげだったけれど口つむぐ。


そのかわり私の隣で静かに絵を描き始めた。


心配してくれてる、それくらい私にもわかる。

それなのに……ごめんね恵ちゃん。