季節外れのエチュードを

そして――



「え?将来は絵で食っていくのかって?それは無理でしょう」



その言葉によってどん底に突き落とされた。



「美波の絵はね、結局頑張っても下手なのよ。幼なじみのともちゃんって子がいたでしょう?ともちゃんが小学生のときに描いた絵は、今の美波よりも上手かったもの」



心臓が痛い。

いや、心が痛いのかもしれない。


母はさも当然だと言うかのように話し続ける。


確かにともちゃんはすごく絵が上手な子だった。

本当に綺麗な絵を描く女の子で、今思えばその絵柄は松浦くんに似ているかもしれない。


そんな彼女よりも劣っていることくらいわかってる。


でも、でも。



「美波は絵を描くことに向いてないわ。あの子の絵、どこかぱっとしないもの」


「っ……!」



私はその場から逃げ出した。

頭は痛いくらいに混乱してるのになぜか冷静で、足音を立てないようにすることも忘れずに。