季節外れのエチュードを




カチコチ――


静かな部屋の中、時計の針が動く音だけが聞こえる深夜。


いつもと変わらない時間に寝たけれど、眠りが浅かったのか変な時間に目が覚めてしまった。



気分転換にお茶でも飲みに行こうかな。



まだ寝ぼけた意識のまま、よいしょっとベッドから起き上がる。


寒い廊下を歩いてリビングをめざすと、明かりがついていることに気がついた。



……あれ、お母さんかな。



不思議に思いながら足を進めると、母の声が聞こえてきた。



「……うん、うん。そうなのよ」



もしかして電話中?

こんな夜中に誰と話してるんだろう。



まあいっか。

静かに横を通ってお茶だけ取らせてもらおう、そう思ったときだった。



「最近美波がね、部活を頑張ってるの」



突然自分の名前が出てきてドキッとする。


わ、私の話?

母の口調はどこか誇らしげでなんだか照れてしまう。


でも、”頑張ってる”ってそう思ってくれていたことが嬉しい。


幸せを感じているうちに母の話は進んでいく。