「美波ちゃん、絵を描くの上手くなったね」



にこっと微笑まれてびっくりする。



「ほ、ほんとですか!?」

「ふふ、嘘なんて言わないよ」



え、えっ、ええー……!

う、嬉しい……!


絵を描くのが上手くなったって褒められたの、初めてだ……!



「美波ちゃんは海が大好きなんだね」

「あいつが好きだから海の絵を描いてんだろ」



横から副部長がツッコミをいれる。

あいつっていうのはもちろん松浦くんのことだ。

思わずちらっと彼の方を見てしまい目が合った。


ああ……!

今の会話聞こえてませんように……

いやそりゃまあ、本人には前からバレてるみたいなもんだけど……!



「あ、そうだ慎ちゃん。副部長の引継ぎのことで話があるの」


「ああ。あっちで話すか」



もんもんとしていると、部長と副部長は会話をしながら行ってしまった。