季節外れのエチュードを

……あ、そうだ!



「あの、松浦くん!」



彼の名前を呼ぶと、嫌そうな顔をしながらもこっちを向いてくれた。


さっきもらったカエルのキーホルダーを、さっとかばんに取り付ける。



「ほんとにありがとう!これ、大切にするね!」



松浦くんに見えるようにかばんごとぎゅっと引き寄せた。


それを見た松浦くんは呆れたのか、おかしそうに笑う。



「それ、UFOキャッチャーで偶然取れたやつだし、そんな大事にしてもらわなくてもいいけど」



言葉はトゲトゲしているけれど、松浦くんの表情はどこか嬉しそうに見えるのは私の見間違いかな。


ううん、きっと見間違いなんかじゃない。

……って思うようにしよう、その方が私が嬉しいし!


なんだか空気がいい気がする。

今なら……今ならもう一度聞けるかもしれない。