季節外れのエチュードを

「ねえ、早く部活行こうよ!」

「待って待って、楽譜忘れたかも!」



満開だった桜も散って、4月の終わりが見えてきた放課後。


まだ易しい内容の授業が終わると、みんな部活へと向かっていく。


ただひとり、私を除いて。



私が入学したこの高校は、1年生は必ず部活に入部しなければいけないという決まりがある。


入学したばかりの私ももちろんその対象者だ。


だけどどの部活にもいまいち惹かれず、入部するところを決めかねている。


このままではやばい。

つい昨日も担任の先生に「期限が迫って来てるわよ~」と言われたばかりなのに。



……はあ、今日もどこかの部活を見学して帰ろうかな。



寂しくなった教室を出て、軽音部の演奏が響く廊下を歩く。