季節外れのエチュードを




「……ちゃん、美波ちゃん!」



トントンと肩を優しく叩かれてハッとする。



「わ、川島先輩!」


「すごい集中力だねえ。部活ちょっと早めに終わることになったんだけど、美波ちゃんはどうする?」



そう言われて時計を見ると、もう一時間がたっていた。


やばい、集中しすぎて周りの話全然聞いてなかった……



「えっと、もう少しで完成するので、ちょっと残ってもいいですか?」


「いいよ、松浦くんも残るみたいだから。鍵だけお願いしてもいい?」


「えっ、あ、はい!」


「じゃあお願い。あんまり無理しないでね」



それだけ言うと川島先輩は部室を出て行った。


松浦くんも残るのか……

やっぱり帰りますって言えばよかった……

なんて後悔してももう遅い。


私が気づいていなかっただけで、もう教室には松浦くんしかいなかった。


ふたりっきり……!?

とんでもなく気まずい……!

どうしよう、やっぱり帰ろうかな……

ああでも、もう少しで完成だし……

いや完成してから帰ろう。


どうせ松浦くんも私のことなんて興味ないだろうし。


自分で言って少し悲しくなりながら続きの作業を始めた。