季節外れのエチュードを

ふたりの会話をぽけーっと聞いていると、川島先輩はこちらへ振り返る。



「あなたお名前は?」


「な、中西(なかにし)美波です」


「美波ちゃん!綺麗な名前だね。今日は美術部に入部しに来てくれた?」


「はい、そうです」



こくりと頷くと、川島先輩はにこっと微笑み、慎ちゃんと呼ばれた先輩は驚き、後ろでは「わーい!」と歓声があがった。


もちろん松浦くんは喜ぶどころか、もっと怖い顔になったけど。



「おいおい君、遠慮なんかせず断りたいなら断っていいからな?このままじゃホントに川島に入部させられるぞ」


「大丈夫です。私、ほんとに入部したくて来たんです」


「おお、そか。それなら歓迎するけど、見学とかしなくていいのか?活動内容とかも説明するけど」


「もう、慎ちゃん。美波ちゃんが入部するって決めてくれてるんだからいいでしょう?説明は入部のあとでいいじゃない」


「それは逆のことも言えると思うんだが」



川島先輩は嬉しそうに微笑みながら、仮の入部届を渡してくれた。


ボールペンで学年とクラス、名前を書いていく。


すべて埋めて渡すと、川島先輩は「受理しましたー!」とみんなに見えるよう掲げた。