「お母様とお父様って 同じ大学だったんですよね?」

いつものように お母様の家で お茶を飲みながら

私は 何気なく 聞いてみる。


壮馬が 中学に入学した 春。

お姉様も私も 廣澤家に嫁いで 15年以上経っていた。


「そうよ。学部は違うけど。」

お母様は 軽く 答えてくれる。


お母様の年代で あの大学に入るって

相当 優秀だったのかな、って。


私が そんなことを 考えていると


「お父様との 馴れ初めって どんなだったんですか?」

お姉様が 笑顔でお母様に聞く。


「いやねぇ、今更。」

照れた笑顔で 受け流すお母様に


「聞きたいわ。ねっ、麻有ちゃん。」

お姉様に 言われて 私は笑顔で頷いた。


「もう。あなた達は 知りたがりなんだから。」


お母様は 少し遠くを 見る目をして

懐かしそうに 話してくれた。