「なんなんだよ!」


明宏は苛立ったように地面を蹴りつける。


全身に流れる汗が気持ち悪くて一刻も早く帰ってシャワーを浴びたい気分だった。


「はぁ……はぁ……もう走れない」


さっきから化け物に遭遇するたびに必死に逃げてきたため、春香の顔色が悪くなっている。


壁に寄りかかって座り込み、何度も大きく深呼吸をしている。


「大丈夫?」


心配している佳奈も体力的にはかなり限界が近かった。


早く首を探して終わりにしたいのに、黒い化け物に邪魔をされてうまく行かない。


あの化け物をまとめて始末することができればいいけれど、そこまで協力が武器は持っていなかった。


本当にゲームの世界なら強い武器をいくらでも手に入れることができるのだろうけれど、現実世界ではそう簡単にはいかない。


「2人はここで待ってて。僕1人で行ってくるから」


「え?」


明宏の言葉に佳奈は目を見開いた。


こんなに化け物がうようよしているのに、1人で行動するなんて無茶だ。