首取り様2

子供の頃から屋台の射的が得意で、どんな景品でも好きなものを取って帰ることができていた。


それは今でも同じで、アーチェリーとか弓道とかダーツとか、とにかく的になにかを当てる競技が好きだった。


「それはすごいことだけど、あんまりのんびりはしていられないかも」


春香の声に前方を確認してみると、曲がり角の向こうから黒い化け物がユラユラと姿を現すのが見えた。


「またか」


明宏はナイフを握り直す。


距離は少し遠いけれど、さっきみたいに黒い化け物が距離を詰めてくる瞬間を狙えばいい。


呼吸を整えてターゲットを見据え、ゆっくりと呼吸を繰り返す。


自然と子供の頃のことを思い出していた。


あの頃も屋台の射的で同じような雰囲気を味わったことがある。


構える姿になるととたんに周囲の喧騒がかき消えて、自分とターゲットしか見えなくなる。


そのときにターゲットまでの起動が頭の中で構築されて、目に見えるのだ。