慎也の体を移動した後、5人は再びリビングに集まってきていた。


「慎也の両親はいつまで旅行へ行っているの?」


春香に聞かれて、佳奈はソファの後ろにかけてあるカレンダーに視線を向けた。


慎也からはなにも聞いていなかったが、ここに旅行日程が書き込まれていたのだ。


「夏休みが終わる3日前に戻ってくるみたい」


佳奈が日程を見ながら答えると明宏が軽く笑った。


「息子を1人にして夫婦で長期間旅行か。気楽な両親だな」


「そうだね。そんな感じの人達だったよ」


慎也の両親に会ったことのある佳奈は頷いた。


基本的に慎也のことは放任主義で、家に連絡さえ入れていれば何日間家に帰ってこなくても大丈夫という印象だった。


それは自分たちにも適用されていたようだ。


おおらかで自由な家族。


そう感じたことを思い出す。


「でも、そのおかげでここに集まれるんだもんね。感謝しなきゃ」