「その時は……」


そこまで言って明宏は口を閉じた。


憶測だとしても、友人が死ぬなんてこと口に出したくはなかった。


首を切られても死なない人間が、飲み食いできなくて死ぬというのも納得できたものではない。


おそらく体は生き続ける。


いつまでも、その寿命が尽きるまで。


明宏はそんな気がしていた。


つい考え込んでしまっていたとき、玄関が開く音が聞こえてきて明宏と美樹は視線を向けた。


部屋に入ってきたのは病院を終えた春香と大輔だ。


大輔は足と腕に包帯を巻かれていて、他にもこまなかな傷口に絆創膏や湿布をはられている。


見ているだけで痛々しくなる大輔を、春香が支えていた。