化け物の背中を見たのはこれが初めてだった。


真っ黒で、背中が曲がっていなければ後ろか前かもわからない姿をしている。


佳奈はグッと奥歯を噛み締めて両手でナイフを強く握った。


黒い化け物が再び手を振り上げる。


そして振り下ろされるより先に、その背中にナイフを突き刺していた。


黒い化け物が大きく体をのけぞらせる。


そのすきに明宏が大勢を立て直し、更にバッドで化け物の腹部を殴りつけていた。


前方からと後方からの攻撃に黒い化け物はその場に膝をついた。


それでもまだ油断はできない。


黒い化け物は一見弱そうに見えるけれど、何度も立ち上がってしつこく攻撃を仕掛けてくる。


佳奈と明宏はうずくまった黒い化け物へと攻撃を続けた。


相手が少しも動かなくなるまで、徹底的にだ。


「2人とも、もう大丈夫だよ」