夢を見ていないのだ。


「佳奈」


名前を呼ばれて横を見ると春香が目を覚ましていた。


戸惑った表情で、視線が泳いでいる。


「夢を見た?」


春香からの質問に佳奈は左右に首をふる。


「そっか……」


春香はソレ以上になにも言わなかったけれど、そんな質問をするということは、貼るかも夢を見なかったのだろう。


「男子たちにも確認してみよう」


そうして合流したとき、誰の首も取られてはいなかった。


そして誰もあの夢を見ていなかったのだ。


「どういうことだよこれ」


わけがわからないまま、大輔が苛立ってダイニングテーブルを殴りつけた。


明宏は顎に手を当てて「おそらく、次のイケニエが見つかったんだろうな」と、つぶやく。


「イケニエ? だってそれは失敗したじゃん」


春香が佳奈を気にしながら言う。