少しずつなにかが見えてきているような気がする。


それとも、それはただの勘違いなのかも知れない。


本当はなにもわかっていないのかも。


布団の中で佳奈は何度も寝返りを打った。


目を閉じて浮かんでくるのは5人の写った白黒写真と、慎也の首のない体ばかり。


慎也の体も美樹の体も毎日確認しているけれど、特に変化はなかった。


相変わらず鼓動を続けていて、呼吸しているかのように腹部が上下している。


皮膚も生前と変わらずに水々しくて張りがある。


腐敗していく様子はなくて、ひとまずは安心していた。


それにしても、今日はどうしてこんなに眠れないんだろう。


普段から眠くなくても強制的に夢の中に引き込まれていくのに……。


朝が、来た。


佳奈は呆然として布団の上に座り、窓から差し込む朝日を見ていた。


昨日は結局一睡もできなかったのだ。


そう、一睡も。


つまり、眠っていない。