広間の茂みにはさっきまでなにもいなかったのに、そこに黒い化け物が1体立っていたのだ。


咄嗟のことで全員動きが止まってしまった。


黒い化け物が一瞬にして佳奈の目の前に移動してくる。


その腕はすでに振り上げられた状態になっていた。


なんで!?


私達はずっとここにいたのに、一体どこから出てきたの!?


そんな事考えている場合ではなかった。


今からポチェットに手を突っ込んで爆竹を取り出している時間はない。


化け物の手はもう目前まで迫ってきているのだから。


だけど首を探すために包丁はベルトにさしてしまっていて、こちらもすぐには抜き取ることができない。


化け物の手が佳奈の首元へと迫ってくる。


もう、ダメだ……!


逃げることもできずに立ち尽くし、キツク目を閉じる。


殺される!