首取り様2

普段から冷静で声を荒げる事なんてない明宏が、今日は様子が違う。


「本当になにもなかったんだ」


3人は同じ言葉を繰り返すばかりだ。


明宏の背中にジワリと汗が滲んでくる。


そんなはずはない。


あのお守りを持っていれば地蔵を見ることができるはずだ。


そしてイケニエを交代できるはずだった!


いや、そもそもその考えが間違っていたのかも知れない。


お守りは持っているだけじゃダメで、本当に本人のものでないといけないのかもしれない。


そしてイケニエは交代など最初からできなかったのかもしれない。


微かな希望にかけて行動に移したのに、こんな結果になるなんて……!


膝の上で拳を握りしめたとき、ふと視界に佳奈の姿が写った。


佳奈はさっきから落ち着きなく何度も椅子に座り直している。


なにをしているのかと視線を向けてみると、佳奈はビクリと体を震わせて視線を外した。


なんだ……?