そんなことになるくらいなら、今すぐ自分から命を絶ったほうがマシだった。


2人は黙り込み、うつむいてしまった。


あれも嫌だこれも嫌だと言っていたのでは前に進むことはできない。


決断しないといけないときがくる。


「考え方を変えてみよう」


明宏がさっきよりも穏やかな口調になった。


2人はおずおずと顔を上げる。


「佳奈」


「え?」


「慎也がずっとこのままでもいいと思うか?」


その質問に佳奈の胸は一瞬にして痛みが貫いていった。


クローゼットの中で呼吸を繰り返している慎也。


生きているのに死んでいるのと変わらない。


ずっとこのままなんて、いいわけがなかった。


佳奈は左右に首をふる。


「だよな。僕も美樹があのままなんて嫌だ。助けたいと思ってる」


助けたい……。