微かな嗚咽が聞こえてくる。


佳奈はどうするべきかわからなくて、拳を握りしめた。


「お守りを捨ててみようか」


思いついたことはそのくらいのことだった。


お守りを捨てることですべてが元通りになるのなら、簡単なことだった。


「そんなことをしても意味はないと思う」


明宏が冷静に答えた。


「じゃあどうするの!? このまま次のイケニエが現れなかったら春香の言う通り私達全員の首がなくなるかもしれないんだよ!?」


正式には1人だけ生き残るが、そんな細かいことはこの際どうでもいいと思えた。


「黒い影が教えてくれたじゃないか」


冷静な声で言う明宏はなにかを決意したような言い方をした。


真剣な目が空中を見つめている。


「次のイケニエが現れるのを待つのか?」


大輔の言葉に明宏は左右に首をふる。