「……っ!」


ハッと大きく息を吸い込んで春香は目を覚ました。


頭上から降り注ぐ電球のまぶしさに目を細め、それから自分の首に手を当てた。


首、ついてる……。


その事実にようやく空気を吸い込んだ。


生きている。


私はまだ生きている!


徐々に実感が湧いてきて、両手で顔を覆い隠した。


涙が自然と湧いてきて止まらない。


昨日の夜、黒い影たちは春香の前に現れた。


影たちは前回と同じ鉈を持っていて、それでまたも春香の首を切断した。


首を切られたときの痛み、恐怖、苦しみは現実世界と変わらず、それは目覚めた今でもリアルに記憶に残っていた。


鼓動が早鐘を打って、苦しくて吐いてしまいそうだ。


布団の上に上半身を起こして耐えていると、隣の布団で眠っていた佳奈が飛び起きた。


そして春香を見た瞬間、抱きついてきた。


「春香! よかった!!」


痛いほどに抱きしめられて、春香の鼓動は徐々に落ち着きを取り戻していった。