首取り様2

松の木の下や、苔むした丸い岩をひとつずつ確認していく。


山の中や森の中で頭部を発見したときは、一見岩のようだったことを思い出す。


「ここにはないか……」


松の木の周りをようやく調べ終えて上体を起こす。


ずっとかがんで探しているので腰が曲がってしまいそうだ。


軽く腰を伸ばしてから、今度は池へと向かった。


家屋の近くに作られている池はひょうたん型で、真ん中のくびれ部分に小さな橋がかかっている。


人間が通れるほど大きくはないが、十分立派な池だった。


池の中をのぞきこんでみるとよどんだ水が漂っている。


普段は水の循環をしてあるのだろうけれど、今はそれが止まってしまっていた。


月明かりを反射している湖面をジッとにらみつけるように見つめるが、池の中には生き物ひとついない。


本当なら鯉でも泳いでいるのかもしれないけれど、この空間では自分たちに取って必要のない存在はすべて排除されている。


よって、池の中の生命も排除されてしまっているみたいだ。