首取り様2

「民家の中は?」


周囲を見回して佳奈がつぶやく。


他に探すところと言えば、それくらいしかない。


足跡はこの辺りで途切れていたのだから、民家にある可能性もある。


ただ、今までがそうじゃなかったというだけだ。


微かな可能性にかけて近くの民家に足を踏み入れる。


そこは広い日本家屋で庭も大きくて車が何台も止められそうだ。


「ここならありそう」


広い庭先に期待が膨らんでいく。


「佳奈、私達それぞれで探すから!」


道路から美樹のそんな声が聞こえてきて佳奈は了承した。


庭先となにあるとすれば、みんなバラバラに探したほうが効率的だ。


佳奈はまず立派な松の木へと近づいていった。


大きな枝がまるで傘のように伸びている。


ここまで育てるのはきっと大変だったに違いないとひと目でわかるものだった。