美樹が家の前にたどり着く。


「明宏の部屋は2階なんだけど、どうやって入ろうか」


美樹が戸惑った様子でこちらを振り向いたときだった。


美樹の後方に黒い化け物の姿が見えたのだ。


化け物は待ち構えていたように庭先から出現し、刃物になった両腕を高く掲げている。


「美樹、しゃがめ!!」


大輔が叫ぶ。


「え?」


美樹は何事か理解できずに目を丸くする。


大輔は構わずバッドを振り上げた。


グシャッ!!


大輔がバッドを振り下ろすのと、美樹がしゃがんだのはほぼ同時。


バッドは美樹の後方にいた化け物直撃していた。


化け物は「ギャッ!」と声を上げて倒れ込む。


大輔は倒れた化け物に2度3度とバッドを振り下ろした。


「大丈夫?」


ようやく我に返った佳奈は美樹に手をかして、引き起こした。


こんなところに黒い化け物が潜んでいるなんて思っていなかった。