首取り様1

聞くと美樹は力なく頷いた。


「みんなもう集合してるから行こう」


佳奈は美樹の手を握りしめて歩き出す。


美樹も抵抗はしなかった。


ただずっと鼻をすすりあげている。


「大丈夫だよ美樹。だって春香だってちゃんと戻ってきたんだし」


「うん。わかってる」


それでも美樹は泣き止まない。


あのリアルで衝撃的な夢を見たら、それが自分の彼氏だったら、誰でもこうなってしまうだろう。


それ以降は佳奈もなにも言わなかった。


1度経験しているから、自分たちがやるべきことはもうわかっている。


ファミレスに到着して中に入ると春香が駆け寄ってきた。


「本当に誰もいないんだね」


夜の街をここまで歩いてきて、ファミレスの中にも誰の姿もなくて、随分と混乱しているみたいだ。


「それ、どうしたの?」