「大輔、今日泊まってもいい?」


不意に春香が大輔にそう訪ねた。


春香の手は大輔の手を強く握りしめている。


「いいけど、どうした?」


「うん……またあの夢をみたら嫌だから」


カラオケで元気に振る舞っていた春香だけれど、やはり1人になることは怖いみたいだ。


「そうか。もちろんいいぞ」


大輔の顔がほんのりと赤らんでいることに気がついて、慎也が野次を飛ばす。


「別に、下心なんてねぇよ!」


大輔にツバを飛ばされて慎也は大笑いしている。


「佳奈。佳奈も強ければ俺が家に泊まってやろうか」


不意に肩を抱いてきた慎也に心臓がドクンッと跳ねる。


慎也が気に入っていると言う爽やかな香水の香りが鼻腔をくすぐる。


「な、何言ってんの」


佳奈は真っ赤になりながら慎也の体を押し返したのだった。