首取り様1

大輔は怒りを含ませた声色で答えた。


「そんな……」


警察が信用してくれないのも無理はない出来事だった。


首を切られたという一番の被害者である春香は、こうして生きているいのだし。


友人同士が集団で同じ夢を見たと思われて終わってしまうだろう。


いや、下手をすれば薬物の検査でもさせられてしまうかもしれない。


そのくらい、自分たちが経験したことは荒唐無稽なことだった。


「だけど、絶対に夢じゃない」


明宏が考え込んだ様子でつぶやく。


眉間には深いシワが寄せられていて、現実では説明のつかない事態に納得していないのがわかる。


「現実じゃないと、慎也のケガの説明がつかない」


明宏はそう続けた。


確かに。


佳奈の手の擦り傷くらいならいくらでも可能性を考えることができる。


しかし、慎也の足の切り傷は明らかに誰かに攻撃されてできたものだ。