だからこれはやはり夢じゃなかったのだと、聞きながら佳奈たちは確信して行った。


「それから、5人のうち1人が私の上に刃物を振り上げたの。それはとても大きな鎌だった」


そこで春香は強く身震いをして自分の首に触れた。


「その鎌で切られたのか?」


慎也が聞くと春香は涙目になって頷いた。


当時の記憶がありありと思い出されて体の震えが止まらない。


大輔が春香の手をさすって落ち着かせようとしている。


「すごく痛かった。鎌が振り下ろされる瞬間も、すごく怖かった」


「それで俺たち、ここに来る前に警察に行ったんだ」


話題を変えたのは大輔だった。


もう春香に無理をさせたくないようだ。


「どうだった?」


佳奈は思わず身を乗り出して質問した。


昨日警察署には誰もいなかったけれど、朝になってからなら誰かが対応してくれたはずだ。


「だめだった。なにを言っても信じてくれない」