美樹はそんな雑棒的な気分になっていた。


「だけど春香は生きてた」


佳奈はそう言うと目の前に座る春香の手を握りしめた。


その手はしっかりとぬくもりを感じるし、手首からは鼓動を感じることもできる。


それだけでジワリと目尻に涙が浮かんできてしまった。


「やだ、泣かないでよ佳奈」


春香が慌てて白いハンカチを取り出した。


佳奈はそれを受け取って目尻の涙をぬぐう。


「だって、昨日は本当に死んじゃったと思ったよ」


美樹も佳奈に感化されて涙を浮かべた。


だけど、このメンバーの中で一番きつかったのはやっぱり彼氏の大輔だろう。


あの得体のしれない世界の中、たった1人で春香を探し出したのだ。


それはやっぱり愛がないとできないことだと思う。


「それで、昨日の夜何があったのか話してくれるか?」


話題を戻したのは明宏だった。