けれど誰もなにも言わなかった。


大輔のすることを咎める人はいない。


それよりもまたあの黒い化け物が出てくるのではないかと、慎也は警戒していた。


「あの化け物に会ったか?」


歩きながら慎也が誰とにもなく聞いた。


「あぁ。曲がり角から突然出てきて、攻撃してきたんだ」


答えたのは明宏だった。


「それで必死に逃げてきたの、私達」


美樹が明宏の言葉を続ける。


「大輔は?」


「俺も見た。でも遠目からだったから、攻撃はされなかった」


それぞれにあの化け物には出会っていたようだ。


そして慎也だけでなく、明宏たちも攻撃を受けそうになった。


やはりあれは自分たちにとって邪魔なものだったのだ。