首取り様1

☆☆☆

メッセージに書かれていた場所はなんでもない場所だった。


周りに目立ったものは何もなく、片側が民家、片側が山になっているごく普通の道路なのだ。


佳奈と慎也が駆けつけたときにはすでに明宏と美樹の2人も到着していた。


「こんな場所にあったのか……」


慎也が道路の真ん中にポツンと、まるで飾りのように置かれている春香の首を見て呟いた。


春香は半目を開けてぼんやりと空中を見つめている。


切断された首から出血している様子はなく、青白い肌のそれは本当にただの置物ののように見えた。


あまりに人間味がない春香の首に余計に恐怖心が湧き上がってくるのを感じる。


気味の悪さも相まって、直視していることができなかった。


視線をそらす佳奈を横目に、大輔が半袖の上着を脱いで春香の頭部にかぶせた。


大切そうに春香の頭を上着でくるむと「春香の体に首を戻す」と言って歩き出した。


春香の体に首を戻す。


そう言ってもすでに首は切断されてしまっている。


布団に染み込んだ血は、大輔もしっかり見ているはずだ。