首取り様1

「あの黒い化け物、まだいやがる」


道路にはさっきと同じかどうかわからないが、黒い化け物が1体うろついていた。


自分たちを仕留めそこねたから、探しているのかもしれない。


慎也と佳奈は路地に身を隠し、逆側の大道りへ出ることにした。


「ちょっと待ってろ」


途中で慎也はそう言うと、民家の裏口へと入っていた。


しばらく待っていると1本の傘を握りしめて戻ってきた。


「相手は素手が武器になってる。これくれい持っていないと話しにならないだろ」


傘くらいで太刀打ちできる化け物とは思えなかったが、それでもなにも持っていないよりはマシだった。


周囲を警戒しつつ路地を歩き、大通りへと出た。


そこには黒い化け物の姿はなく、ようやく春香の首探しに専念できそうだ。


「私はこっちを探して見る」


佳奈はそう言うと、ゴミ収集場所を目指して歩き始めた。