首取り様1

靴下まで真っ赤だ。


「どうしよう、すごい出血」


「大げさなんだよ」


本当に傷は足したことがないような気がしていた。


痛みも今は和らいでいる。


けれど佳奈は慎也の靴下を脱がし、汚れていない方の靴下を傷口に巻きつけた。


傷口はとてもキレイに切られていて、それは春香の首を連想させた。


慎也が言ったとおり傷は浅く、大げさに血が流れたもののすぐに止まった。


ひとまず安心したものの、あんな化け物がいたのでは首を探すどころじゃない。


警察署ではあの黒い化け物が5体も出現したのだ。


「そろそろ行こう」


しばらく休憩してから慎也が立ち上がる。


「でも、ケガが……」


今は血が止まっているけれど、動けがまた出血するかもしれない。


「ボヤボヤしてたら朝になる」


慎也は右足を引きずるようにして佳奈の前を歩いた。


隠れていた路地から広い道路へ戻り、顔だけ出して周囲を確認する。