つまり、自分たちが必要としている場所にだけ入ることができているのだ。


警察署に入ることができなかったのは、そこは《違う場所だったから》なのだ。


ゲームなんかでよくある、世界の果てだ。


そこにあるけれど入ることはできない。


ゲームとは関係のない場所だからだ。


それから佳奈と2人で他の民家やコンビニに入ろうと試みたけれど、はやり無駄だった。


「よし、これなら頭を見つけることができる」


慎也は確信を持って頷いてみせた。


余計な場所にはもともと入れないのなら、自分たちの行ける範囲に春香の首があるはずだ。


どんどん前へと進んでいく慎也に佳奈は追いつくのがやっとだった。


慎也は慎也なりになにか法則を見つけたみたいだけれど、佳奈にはわからない。


と、そのときだった。


暗闇の奥から人影が歩いてくるのが見えた。


「あ、明宏か大輔かも」


佳奈はその人影の大きさから男子だと推測して言った。