「つまり、今から春香の首を探すってこと?」


佳奈の質問に慎也は真面目な顔で頷いた。


誰もいない街。


黒い化け物が出現する街。


それはもう、自分たちの知っている街とはかけ離れたものだった。


「でも、どこを探すの?」


美樹が誰にともなく尋ねる。


この街のどこかに春香の首があるのか、それとも日本のどこかにあるのか、それすらもわからない状況だ。


どこを探していいかなんて検討もつかない。


「全員で行動していたら、朝には間に合わない」


そう言ったのは明宏だった。


まだ青い顔をしているけれど、随分と落ち着いてきたようだ。


「じゃあ、3組に別れて探そう。佳奈と慎也。美樹と明宏。俺は1人で探す」


「1人は危険だ」


慎也がすぐに口を挟んだ。