「わからない。あんなの、見たことがない」


明宏が青ざめて左右に首を振る。


誰も黒い化け物を見たことがなかった。


図鑑や本の中ですら聞いたことも、見たこともない存在だ。


「夢の中の5人と似てた。でも、少し違う」


美樹がつぶやくように言う。


確かに、真っ黒という点では似ていた。


「あいつらは俺たちを攻撃してくるのか?」


また大輔だ。


4人は同時に首を振った。


そんなのわからなかった。


だけど手は確かに刃物になっていて、危険な雰囲気を感じた。


「こうなったら、夢の方が現実だったと考えた方がいいかもな」


慎也が難解なことを言う。