首取り様1

後ろに人の気配がして振り向いた。


こんな時間だし、警察関係者か、それに類似する人だと思っていた。


でも、違った。


そこに立っていたのは5体の人の形をしたナニカだったのだ。


そのナニカは異様に背が高く、細く、そして両手で刃物のような形状をしていたのだ。


5人の顔からスッと表情が消えていく。


5体のナニカは真っ黒で、月明かりでもその姿を浮かびだすことができなかった。


それは夢に出てきた黒い影とよく似ている。


「逃げろ!!」


叫んだのは大輔だった。


ナニカがなにであるかはわからない。


だけど少なくても自分たちの味方ではないと感じ取った。


大輔の声を合図に5人は同時に警察署から逃げ出した。


なんだあれは?


人じゃなかった。


人の形はしていたけれど、それだけだった。


口も鼻も目も見えなかった。