首取り様1

それでも春香は起きない。


よく耳をすませてみても、呼吸音すら聞こえてこない。


そんな異様な空間の中目がなれてきて、暗闇でもものの配置がしっかりとわかりはじめた。


そして同時に見えてきてしまった。


春香の布団が、夢の中と同じように赤黒く変色していることに。


「大輔っ!」


咄嗟に大輔を止めようとして佳奈が手をのばす。


けれど遅かった。


大輔は布団を掴んで剥ぎ取っていたのだ。


そこから現れたのは春香の胴体。


首の切られた、胴体だけだ。


「イヤアアア!!」


佳奈と美樹が同時に悲鳴をあげて、互いに抱きしめ合う。


大輔は後ずさりし、明宏と慎也は絶句してしまった。


夢で見たあの光景が目の前に広がっている。