首取り様1

明宏も佳奈も美樹も、途中で引き返そうとは思っていなかった。


「わかった。春香の家にはときどきこっそり忍び込んでたんだ」


大輔がなんでもないことのように言う。


2人はカップルだからもちろん春香が承諾して、鍵でも開けておいたのだろう。


そうこうしている間に春香の家に到着していた。


夢で見た歪んだ家とは違い、小ぶりで可愛らしい一軒家だった。


門を開けて中に入ると玄関までの小道が続いている。


しかし大輔はそこへは行かずに庭へと回り込んだ。


「こっち」


と言われて他の4人もぞろぞろとついて行く。


「ここが春香の部屋なんだ」


家は2階建てだけれど、春香の部屋は1階にあるみたいだ。


大輔が3度ノックをして中の様子を伺う。


誰かが動き出す気配は感じられないし、電気はすべて消されたままだ。


「やっぱり寝てるんだよ」


佳奈が言う。