あの5人が部屋に入ってきたときの冷気や、首を切られた時に痛みがリアルに蘇ってくる。


「大丈夫?」


隣に座っていた春香が心配そうに佳奈の手を握りしめてきた。


春香はもう1度首を切断されているから、佳奈が今どんな風に怯えているのか理解できるのだ。


佳奈は小刻みに頷き、水を飲んだ。


「その時に気になることを言われたの」


みんなに会ったら話さないといけないと思っていたことだった。


「言われたこと?」


明宏が身を乗り出してくる。


敵から言われた言葉はきっと大切なヒントになる。


「うん。『お前たちには我々が見えた。選ばれたのだ』って。どういう意味だと思う?」


明宏は顎に手を当てて考えこんだ。


言葉のとおりに受け取れば、自分たちは黒い首なしの影を見たことがあるということになる。