慎也は絶叫と共に目を覚ました。


勢いよくベッドに上半身を起こして、口を大きく開けて空気を吸い込む。


全身汗でぐっしょりと濡れて髪の毛は張り付いている。


でもそんなことは気にもならなかった。


「佳奈が……佳奈が……」


うわ言のように呟いて金魚のように口をパクパクと動かす。


そうしている間に徐々に気持ちが落ち着いてきて、ベッド脇のスマホへ手を伸ばした。


時刻は夜中の1時。


いつもと同じ時間だ。


次々とグループメッセージが送られてくるけれど、それを確認するつもりはなかった。


ベッドから起き出した慎也はジーンズに着替えをすると階段を駆け下りた。


いつも玄関先に置いてあるバッドを力強く握りしめて外へ出る。


今夜も人影は1つもなかった。


まだ明かりがついている民家からも、聞こえ漏れてくる声はない。


今回夢の中で首がなかったのは佳奈だった。


佳奈は無残にも首を切断され、布団は血に濡れていた。