首無し地蔵には1度行ったことがあるので、迷うことなくたどり着くことができた。


以前来た時と同じように東屋の中に鎮座している5体の地蔵。


相変わらず苔むしていて、誰の手入れもされていないみたいだ。


「こういうの、ちゃんと管理しないといけないのにね」


地蔵を見下ろして美樹がつぶやく。


「そうだね。手入れしてないから肝試しの場所になったのかも」


「だから地蔵が怒って俺たちに変なことをさせてるのか?」


佳奈の言葉に、慎也が横槍を入れた。


「それはわからないけど……」


だけど、ここが全くの無関係とは思えなかった。


地蔵の呪い、とまでは行かないにしても、なにかあると思う。


「この街に首なし地蔵って他にもあるのかな?」


美樹が明宏に聞いた。


明宏は顎に指を当てて記憶をたどる。


「いや、ここ以外には聞いたことがないな。もしかしたら僕が知らないだけかもしれないけど」


「ここしかないなら夢の中で言われる『地蔵の首になる』っていうのは、この地蔵の首になるってことで間違いなさそうだな」