カクレンボ

「それより華が持ってるのケーキ?」

「うん」

 桜が私の持っているものに気づいててくてく寄ってきたので笑顔で頷いた。

「早く食べたいなー。雪、早く料理しちゃってね!」

「わかった。じゃあ今から作るからお風呂先入ってきてくれる?」

「風邪人。行ってきなさい」

「今回ばかりは桜の言うこと聞く」

 珍しくすんなり桜の言うことを聞いた空は、鼻をすすりながら脱衣所へと向かった。



「華お風呂いいよ」

 桜が濡れた髪をタオルで拭きながら出てきた。リビングでテレビを見ている空、キッチンで料理をしている雪を一度見てからわたしは「はーい」と席を立った。

 髪と体を一通り洗い、お風呂好きの桜が入れたであろうピンクの入浴剤の入ったお風呂に体を入れる。温度が高いけれど、寒いから丁度いい。

『空ってさ、桜のこと好きなのかな』

 湯気と対でいきなり脳裏にその言葉がよぎった。
 ちょっかいをかけてるのは、嫌いとかじゃなくて好きだからって雪は言ってた。ふたりを見てる感じ、嫌い合っているわけではなさそう。そうかといって好きな子にちょっかいをかけるというのは私自身納得ができない。男の子特有?でもそれなら桜が空にちょっかいをかける理由が見つからない。雪の考え方で行くと、桜も空のことが好きということになる。必然的に両思いだ。

「恋ってなんなんだろ」

 言葉に出してみれば、更に考えを深めようとする。湯気と共に上がっていった言葉はもう飽和されている。

 あまりにも矛盾している気がする。