吉良くんの弱愛なところ。



あわよくば、合コンがなければ、吉良くんと一緒に下校できたのになあ……なんて言わないけれど。

少し残念な気持ちのまま、教室を出ようとした瞬間。



「……わっ、」


グンッとブレザーの袖が何かに引っかかって、体勢がよろける。


こ、転びそうだった……!


びっくりして後ろを振り返れば。

そこには、わたしの袖を掴んでいる吉良くんがいた。


「え、吉良くん?」


掴まれた袖と、立っている無表情な彼を交互に眺める。

状況を処理できず、さらに動揺も隠せない。