吉良くんの弱愛なところ。



「……えーっと、吉良くんはいまから帰るの?」


聞いてみれば、彼はこくりとうなずいてくれる。

それからちょっと迷うような様子を見せたあと、吉良くんは静かに尋ねてきた。


「……枢木は?」

「わ、わたしは……、ですね」


合コンです!と意気揚々と言えたら、どれほど楽だろう。

どうにも言いづらくて、数秒思案する。


もしかしたら、さっき英梨ちゃんたちと話していた声が聞こえていたのかもしれない。

確かあのときイヤホンをしていたはずだけれど、わたしたちの声はかなり大きかったから……ありえる。


だとすると、ここで嘘をついちゃったら良くない……よね。



「あ〜〜え〜っと、……お友達とお食事、みたいな?」


苦し紛れにも程がある。

いやでも、お友達(異性含む)だから間違ってはいないと思いたい。