吉良くんの弱愛なところ。



全速力のまま、教室に到着。

ドアの前で荒れた前髪を直して、フーーっと呼吸を整える。


少しの疲労がありつつも、合コンに行かなければならないという使命がわたしにはある。

そうして急いで教室のドアをガラッと開けた……のだけれど。


「どぅえっっ?! 吉良くん……?!」


なんてこった。

教室内にいたのは、なんと吉良くんひとりだけ。


今日は一度も話してなかったから、目が合っただけでキュンとしちゃう。


いつものように音楽を聴いていた吉良くんは、疲れてハアハアしているわたしをちらりと見たかと思えば、イヤホンを外して肩をすくめた。



「なんでそんな疲れてんの」