吉良くんの弱愛なところ。


そんなに怒ることないじゃない?

ぷくっと頬を膨らませると、突然ピーンと名案が降ってきた。


「あっそういえば、なっちゃん先生」

「なんだ、枢木」

「最近わたし、賢くなろうって思ったんです。それで新しく覚えた漢字がありまして」

「ほお……それは感心だなあ。枢木が勉強熱心だなんて、ほかの先生も感動するぞ」


新しい漢字覚えただけで感心される悲しいわたし。

でもいいの、勉強キライなのは本当だから。


「例文作ったので、合ってるかチェックしてください」

「おう、まかせろ」


得意げにしているなっちゃん先生は、国語の先生。

ちなみに現代文担当だから、漢字にはとっても詳しい。



「なっちゃん先生は、“吝嗇(りんしょく)”です」


わたしがそう言って、きっかり3秒。

そろーりと後退した途端、ピキッと先生の額に青筋が。